「石の海」を終えて
私の初の劇伴音楽監督作品「石の海」の公演を終えました。劇伴と言うとプロデューサー的には語弊がありましょう。彼の唱える「コンサート・ドラマ/サウンド・ノベル」というのは、あくまで音楽が主体。ではそういう舞台作品はこれまで無かったのかというと、それは恐らくたくさんあったでしょうねぇ。何しろ人類が舞台芸術を始めたのは紀元前の話。しかしながらスタイルとして定着していないのは、何らかの理由があるのでは...。
かなり気合いが入っていました。
序曲(メイン・テーマ)は、
小さな序奏の付いたソナタ形式の曲で、
展開部において劇中に登場するシーンの音楽(テーマ)が盛り込まれています。そして終結部から演劇が始まり、主人公が母親とミサに行っている場面へ。
シーンによって主演・勝野雅奈恵さんの歌が入ったり、森の妖精のダンスが入ったり。またシーンとシーンの間には、メイン・テーマのタンゴ・バージョンや、変奏曲バージョン、そして今回自分でも一番気に入っているCelloとPianoのみで演奏した「アルプスの夏」と、いわゆる間奏曲という部分も、ある曲はさらっとしたもの、ある曲はボリュームたっぷりの内容になっていました。
また話の進行役グルダのバックで流れていた音楽は、主に(変則的な)弦楽四重奏(Violin,Viola,Violoncello & Contrabass)でした。そう、私が弾いていたのはViolinでは無く、Violaです(笑)。
嵐のシーンでは、森の妖精までも打楽器を奏し、雷の音などを演出。我々も激しい音楽を演奏しました。ちなみにこの曲、リハーサルで萱谷君のアシスタントに、妖精役になってもらい、雷の音を叩いてもらったのですが、彼は音楽的に叩いてしまい、あまり練習にはなりませんでした(笑)。
音楽だけざっと説明しましたが、果たしてお客さんにはどういう風に映ったでしょうか。少し長めの生演奏が付いた劇。演奏家が舞台上にいた。Celloの植木昭雄君が、市場のさくらんぼ売りの役をやった...!?
今回で4回目だったサウンド・ノベルですが、今までとは全く違う切り口での制作だったようです。プロデューサー的には新ジャンル「コンサート・ドラマ/サウンド・ノベル」の形成に近づいたと手応えがあったようです。
萱谷君のブースですが、
1日目には、
ドリフ並みにドサッと雪が降り、
楽器演奏が困難になるくらいでした。
写真は2日目。改善され量はかなり減ったようです。写っている楽器は、妖精役が叩いた雷の音。見た通りのトタン板ですが、元々ボコボコのところを、更に妖精のお姉さん方が、芸術的な形に!?
最後になりましたが、決して得意では無い分野である今回のような音楽に、真っ向から取り組んでくれたNAOTO君、彼は私の書くスコアと、最も付き合いが長いです。そして不肖の弟子に誘われて参加、役者デビュー(!?)までしてしまった、我が師匠植木昭雄先生。私の最も信頼するパーカッション奏者、萱谷亮一君、更に今回最年少ながらも、我々と対等に音楽を作ってくれた倉持敦君、君が同じ茨城県人である事が嬉しいヨ。皆さん、記念すべき私の初舞台音楽監督作品を、最大限に表現してくれて、本当に有り難うございました。
更に、その生き証人になって下さった、会場にお越しの皆様、お忙しいところ誠に有り難うございました。
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ぜひ観に行きたかったのですが気がついたら両日とも日勤になっていましてね・・・今度から予定は早めにチェックするようにしますね・・・
投稿: ゴルゴ | 2010年1月18日 (月) 23時01分
また聴きたいです。。。
両日行けば良かったな~と今更ながら後悔(汗)
植木さんがさくらんぼ売りを演じたのを見て、全員何かの役をやるのかと思いました。役者デビュー!?は植木さんだけでしたね(笑)
啼鵬さん、Violaでしたね。失礼しました!
投稿: 北海道在住希望 | 2010年1月19日 (火) 00時33分
> ゴルゴさn
コレ、かなり前に決まっていたケド。次は...無いだろうなぁ。
> 北海道在住希望さん
其れです。実はミュージシャンにも、もっと芝居に絡むようなものがあったらと、演出家の方も言っていました。でも私が役付きになると、ストーリーが壊れるかも(!?)。
投稿: ていほう | 2010年1月19日 (火) 00時40分
ていほうさんへ
「石の海」お疲れ様でした
本当に観に行って良かったなぁと思いましたヨ。
音楽も素敵で自分の中にスッと入ってくる感じで、
癒しがあり、その中にも程よい緊張感もある舞台と
音楽の世界にとても感動しました
舞台上がシンプルでも、良い音楽と役者さんの素晴らしい
演技さえあればそこに絵が見えて来るのだと思いました。
だからこそ、たくさんの言葉をどれだけ並べてもこの舞台の
体験は語る事が出来ないと思います。
どう、書けば全てが伝わるのかと思う程の感動でした
「弦楽器がかなり活躍します」とのていほうさんからのコメントにかなり期待をして観に行きました。最高にステキでした
聞きなれているはずの音も、何か違って感じる空間でした。
曲作りにはご苦労も多かった事思いますが、何も無い所から
あれだけの曲を作られたていほうさん、ステキです
そのすばらしい曲にNAOTOさんと植木さんと萱谷さんと
倉持さんでさらに素敵に色付けされた曲を聴いて皆さんの
才能に改めて感動しました
こんな体験が出来た事に感謝です
今年もすばらしい音楽に出会えそうな気がしてきました
改めて、舞台音楽監督デビューおめでとうございます
そして、その生き証人になれたことを嬉しく思います
また、いろいろ観に行かせていただきます。
楽しみにしています
投稿: kazumi | 2010年1月19日 (火) 03時10分
『石の海』大変お疲れ様でした。
とても聴き応え、観応えのある
素晴らしい舞台でした!!!
幸せの沢山詰まった時間を
ありがとうございます。
生き証人の一員になれて嬉しいです。
特に聴き応えたっぷりの間奏曲。
サウンドノベルの意味が分かった
気がしました。
また、その情景を思い起こさせる
シーンごとのテーマ曲。
ラストシーンでは曲と照明、
きらめく雪、衣装すべての効果か
勝野さんが本当に天使のように
美しかったです。
啼鵬さん本当に素晴らしいです!
演奏に演技に引き込まれすぎて
最前列で感涙。。。
メインテーマのフレーズや勝野さんの
歌声が未だ耳に残っています。
2日目しか行けなかったのが残念です。
そして、たった2回の上演も残念です。
啼鵬さん、是非再演お願いします!!
投稿: 弓 | 2010年1月19日 (火) 14時41分
啼鵬さん、本当にお疲れさまでした。このような記事や、行かれた皆さんのコメントを読めば読むほど、行来たかった!と思うのですが、職員旅行の日程とかぶり、どうにもなりませんでした。残念。
また、何かの機会には伺いたいと思います。
投稿: 律子 | 2010年1月19日 (火) 23時24分
> kazumiさん
いやはや、賛辞の数々、有り難うございます。何だか恥ずかしくなりますねぇ。でもそれだけ力は入れましたし、充実したものが出来上がったと思っております。
また頑張らなくては!
> 弓さん
今回何度も演奏されたメイン・テーマは、形を変えて、同じメロディーでも別のシーンが思い起こされるようになったかも知れません。
再演ですかぁ...。勝野さんの持ち役としてやって下さると、またどこかで出来るかも!
> 律子さん
実は今回のサウンド・ノベルは4年ぶり。つまり次回は!?
是非とも職員旅行の日程に、我々の公演を組み込んで下さい(笑)。
投稿: ていほう | 2010年1月20日 (水) 17時59分