採譜という作業
恐らくポピュラー音楽系の勉強をする場合、必ずと言って良いほどするのが「耳コピー」。採譜(さいふ)と言うものです。クラシック音楽と違って、理論よりも実践的な事で学んでいく音楽なので、とりわけad lib.を体得する場合や、コピーバンドをやる場合など、避けて通れないものでしょう。尤も最近は「XXXアドリブフレーズ集」なんて、便利な楽譜も出版されていたりするのですが、其れを買って練習するよりも、自分の耳で(一生懸命)聞き取って譜面におこし、其れを練習する方が、はるかに身につきます。
とは言え、速いフレーズはなかなか聴き取りにくく、譜面におこしにくいのも事実。そこで強い見方になってくれるのが「フレーズトレーナー」。昔テープレコーダーの時代は、速度を落とすと音程も低くなってしまうのですが、今のマシーンは(いや、大分前から)、音程を変えずにゆっくりな速度に出来、譜面に書き取れるわけです。
私もTangoやJazzの耳コピーは、かなりやりました。さすがに最近では減りましたが、今1曲やっています。バンドをまるごと耳コピーしているのですが、これがなかなか難しい。よく聞こえるパートと、聞こえにくいパートがあります。
グラフィック・イコライザを購入。
写真奥に見えるのが其れです。
つまり聴き取りにくい帯域を上げたり、余計な帯域を下げたりして、目当てのパートを聴き取るというもの。まぁ、当然他のパートの音も混ざっていますから、そう簡単にはいかないのですが、無いよりはマシです。ちなみに左下にあるマシーンでMP3ファイルを再生。2分1の速度に落とせます。
今でこそフレーズトレーナーは各社から出ていますが、私がコピーをし始めた頃は、あまり有りませんでした。
フレーズトレーナーがコレ。
買ってもらった、というのは、
実は高校の受験のときに親と上京して来店。買ってもらって、合格してからいじりだしたというワケ。これでもって、かなり色々な曲をコピーしまくりましたよ。
そもそもAKAIというメーカー。YAMAHAやRoland、KORGなどと並ぶ、日本の音楽機材メーカー。当時はサンプラーの定番メーカーでした。独特のデザインと、ユニークなコンセプトの商品が多く、熱心なファンがいました。ちなみに私が昨年買ったKeyboardもAKAI製(2009年11月17日参照)。と言いつつ、2000年に経営破綻しているので、私の買ったのは新しい方のAKAI professionalなんですがね。
このフレーズトレーナーU4は、入力された音(テープやCDなど)を、確か13秒くらい録音して、そのフレーズを音程を変えずに速度が変えられるもの。丸い部分を回して変えられるのですが、何故か2倍速まで変えられます。速くする必要あるのかネ、という感じですが。何しろこのダイヤルで好きな速度に変えられるので、実は重宝していました。今のマシーンは、速さの切り替えが固定のものが殆ど。
そして私は今回のように、グラフィック・イコライザを買いましたが、このマシーンには、パラメトリック・イコライザを搭載。上げ下げしたい帯域を自由に決められるのです。この後継機種U40では、固定のイコライザになってしまいました。
そんなワケで、密かに名機と思っているAKAI U4。当時はまだWAVEファイルだの、MP3ファイルというのが無かったので、実際にフレーズをサンプリングして、引き延ばしていたのですが、今では1曲まるまるMP3データを扱えるので、その点は便利。何しろサンプリングでは数十秒がいいとこですから。
でも、更に操作する部分として、このAKAI U4の使い勝手があれば、鬼に金棒なんですがね。そう言えば最近、AKAI professionalはフレーズトレーナーは出ていないなぁ。名機の使い勝手をそのままに、MP3が読み込めるU4000(仮称)を出して欲しいですな。
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グライコの小ささにびっくりしました。大きいものだとばかり思っていましたので。
それとも、こちらが特にコンパクトなタイプなのですか?
投稿: ジーナ | 2010年4月22日 (木) 12時17分
> ジーナさん
これは「ハーフラック」というサイズです。機材によっては、ラックにマウントするために、規格通りに作られるものがあります。これは1Uと呼ばれる厚さで、半分の幅(ハーフラック)なので、小さいと言えばそうですね。
実はモバイラーの私としては、こういった小さい機材、好きなんですよ。
投稿: ていほう | 2010年4月22日 (木) 13時10分
ていほうさんほどの音楽の知識と経験を持ち合わせていても、耳コピーは難しいんですね。
モーツァルトみたいな才能を持っている人は、稀にいるのか?いないのか?どうなんでしょうかねぇ。。。
投稿: のの | 2010年4月22日 (木) 14時15分
> ののさん
いやいや、私なんぞの知識は微々たるもの。でもその知識や経験のために耳コピーをするのです。
耳コピーは、当然の事ながら耳が良いかどうかが勝負。年とともに衰えもあります。私も若い頃の方が良く聞こえたかな。
投稿: ていほう | 2010年4月22日 (木) 14時40分
下の丸いほうは見覚えありますね・・・というよりまだ現存していたのですか・・・たしか私が小学生の頃この音わかるか?とかいってていほうさんから聴かされた覚えがあります。あの頃はタンゴとか良く分からないなりに耳コピーして弾きまくって(半ば強制的でしたが)いましたな・・・
投稿: ゴルゴ | 2010年4月22日 (木) 22時11分
> ゴルゴさん
あぁ、そんな事もあったね。このマシーンはデザインも気に入っているし、性能面はともかく、機能面は素晴らしい。最近はジャンルを問わず、愛せるマシーンになかなか出会わないね。
投稿: ていほう | 2010年4月22日 (木) 22時39分
このテのものの操作系で、ダイヤルとかスライドとかいった機械式のデバイスは少なくなってますね。たとえ可変であっても+とか-を何回も押さなければならなかったりすると、イライラします。たぶんパーツの単価が安いのでしょうが、機構的にも壊れやすくなってしまうと思う。修理もできないし、残念です。デジタル化するなら、iPod nanoみたいに、輪っかを指でぐるぐるなぞる方式の方が好みです。
フレーズトレーナーというものの存在は知りませんでしたが、一見不要に見える倍速も、たとえば「あ、こんなところに4倍音価の主題があった!」等、役に立つかも知れません。まれなケースだとは思いますけどね。
AKAIってカセットデッキの会社だと思ってました・・・家内のミニコンポがAKAIだったかも・・・あれ、AKAI違いですか?
投稿: ほーほ | 2010年4月23日 (金) 12時48分
> ほーほさん
ディジタル化は必ずしも、利便性を高めるばかりではありませぬ。そしてディジタル化されたところを、アナログ的にするにも技術が必要で、かえって大変かも。
さすがに最近では速度を速める機能をもったマシーンは見かけませんねぇ。学習者には良いって事ですか。新たな発見。今度何かの曲で試してみます(笑)。
AKAIはそのAKAIです。特にサンプラーSシリーズ(S900,S1000など)は、世界的にも支持されていました。あとウィンド・シンセで有名です。
投稿: ていほう | 2010年4月23日 (金) 13時24分