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2011年4月 9日 (土)

サントラに入らなかった曲

 今月初めに無事放送終了した、NHK連続テレビ小説「てっぱん」。番組スタッフは、東日本大震災のために、打ち切りも覚悟していたらしいです。

 お陰様でサントラ盤の売り上げも好調。放送中は劇中で流れている曲の問い合わせがNHKによくあったみたいで、サントラに入っているならば良いのですが、そうでない曲が困るのです。ちなみにサントラ盤の準備は、放送開始直後から始まっているので、後から録音した曲は、サントラの選曲候補にはなりません。

 今回は3回目のセッション(2011年1月16日参照)で録音した曲を解説したいと思います。

Teppanfurei いずれもよく問い合わせがあった曲。

まず譜例1。

「MIORI」という曲です。

 これは主人公村上あかりを演じた、瀧本美織さんのために書いたもので、演出家から「村上あかりではなく、瀧本美織という曲を」というオーダー。つまり役者瀧本美織さんを表した曲です。...って、待って下さいな、会った事も喋った事もないのに、その人を表した曲を書けって!?

 ある意味今回一番苦労した曲でした。「村上あかり」ならば、ドラマの中で散々見ているので簡単に書けますが、其れを演じている瀧本美織さんですからねぇ。打ち合わせのときに「んじゃ、会わせて下さいヨ」とも言えたのですが、ここは大見得を切って、「わかりやした!会わずに書きましょう」と、一流作曲家っぽく振る舞い、完成させたというワケ。

 オーケストラ・バージョンとPiano Soloバージョンとあって、Piano Soloは他の曲同様、楽譜無しで即興で弾いています。

 そして譜例2。「解散」という曲です。これは田中荘の住人が、それぞれ独立していく様を描いています。編成に意味を付加していて、

Piano→おばあちゃん

Trumpet→あかり

Clarinet→滝沢君

Fagotto→笹井さん

Violin→民男君 Violoncello→民男君のお父さん

Strings→田中荘を取り巻く人々

 劇伴なので、劇中では全曲流れる事はありませんでしたが、曲自体はストーリー性があって、おばあちゃんが始めた下宿屋、次第に住人が増え、あかりも入居。駅伝君の走る姿、そして中岡親子が去り、最後にはあかりとおばあちゃんが残る。

 そういうストーリーを軸に、同じフレーズを編成を変えながら、何回も繰り返しています。哲学的な曲で、メロディー自体はシンプルです。曲中ずっと維持されるシンコペーションは、このドラマのテーマである食を表していて、いつ何時でも途切れずに...。

 いや、原曲では途切れるんですわ。これがまた意味深で、またすぐに回復するのですが、そういったときの聞き手のハッとする部分が、この曲の聞かせ所でもあります。

 来月には弦楽合奏団弓組第1回公演で、「てっぱん」に登場する曲をたくさん演奏しますが、残念ながら管楽器のない編成なので、「MIORI」も「解散」も出来ません。これはすぐにも第二弾を企画しなくては!

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コメント

まさについ先程、弦楽合奏団弓組第1回公演の申し込みをしたところです。
このブログを読んで、楽しみが増しました!!!
こういう曲の解説も楽しいですね~♪
私は、本日やっと『てっぱん』を最終回まで見る事ができました。
2週間分まとめて見ましたよー。見終っていて良かったです。
笹井さんまで去る事を想定していなかったので(汗)
なにか、とても気持ちの良い終わり方でしたね。
このドラマでは沢山元気をもらえましたし、沢山泣きました。
心が浄化されるような素晴らしい作品で、素晴らしい音楽の数々でした。
ほんとに幸せだーーー!!!!! (やや興奮ぎみですw)

こんばんは。先のコメントの際は、レスポンスいただき大変嬉しく思っており、また「解散」の解説を心待ちにしておりました。あれから時間が幾分経ちましたが、時折「解散」が自分の中に舞い降りますし、今回の解説を拝見し、改めて素敵な曲だと再認識しました。
何らかの形でこの曲に再会できれば幸いです。

すばらしい曲の中に、事情があるんですね~。なかなかそんなお話を聞けないから新鮮です。是非、生でお聞きしたいです。第2回目の第3回目もどんどん企画を立てちゃってください。

てっぱんのサントラ、改めて名曲揃いだなあ、と思うこのごろです。

ところで昨日のサントリーホール、素晴らしかったです。

これまで何十回と聞いた「エトピリカ」の中で、最高の演奏でした。

葉加瀬さんも大絶賛されてましたが、啼鵬さんがどれだけすごい人
なのか、再確認させていただきました。

楽屋で子守りしながら(ホントですか?)聴かれていたことと思いますが、
私にとってもあんなに気合いを入れて拍手したコンサートは初めてです。

半年間、夜中が私のてっぱんタイムでしたnote
今は毎日サントラ聴いて……ウルウル(T^T)

昨日はumiさんの隣で啼鵬さんを思っておりましたよ。
本当に素敵な音楽を有難う♪♪

> 北海道在住希望さん
 そこまで喜んで頂けて、嬉しいです。弓組公演は、劇中で流れたものを、フル・バージョンで聞かせるのがコンセプト。サントラに入っていない曲もありますし、かなりオススメです。

> 古伊万里さん
 「解散」は編成の大小による変化で構成されているので、例えるならばラベルの「ボレロ」のような感じです。メロディー自体はPiano中級者くらいで弾けてしまう感じなんですがね。いつかオリジナルの編成のまま、コンサートで演奏してみたいです。NHKのスタッフにもとても評判の良かった曲でした。

> ゆきうさぎさん
 普通「映画音楽特集」といった映像付随音楽は、たいてい主題歌とか、メインのものばかりですよね。今回は劇中BGMが、実はこんなにストーリー性をもった曲達だったというのを聞いて頂きたいです。

> umi(Rケ崎)さん
 ホントです。と言うより、子守りしながら別件の仕事を。
 まだツアーは終わっていないので、多くは語れませんが、あのバージョンは、自分でも何を書いたか、忘れていました。割と前に編曲したので...(汗)。

> K子(Rケ崎)さん
 おっと、チョー久し振りじゃないですか?ご無事で何より。
 県内でも「てっぱん」コンサートをやりたいんですがね...。

てっぱんで使われていて、大好きなのにサントラに入っていない曲。
過日、ご迷惑と承知しつつも、知りたくて知りたくて問い合わせのメールを送ってしまいました。
今、ブログにその曲を発見して嬉しい!!
解散。だったんですね。

しかし、田中荘オールキャストの曲だったとは。
滝沢君とあかりに絆が芽生えてそれがこれから膨らんでいくイメージで聴いてたので
解散ってタイトルはちょとさみしい(泣)
でも解説読んでなお大事な曲になりました。

サントラに入っていないのが残念。他の楽器も入らないし。
音はとれるのでピアノで毎日弾いてます。
でも、CDで聴けたらうれしいな。

> SSさん
 タイトルもNHKからのオーダーでした。感情の起伏を無くして、解散しようが発展しようが、「日常」は変わらずに流れていくという様です。曲はコンセプトを以て作りましたが、其れだけでは成り立ちにくく、あくまで映像があって意味を成す曲です。劇中では田中荘の場面でのみ流れたと思いますが、これが尾道で流れたら、全く別物になってしまいますね。

ああ!駅伝くんが福岡に行くと決まった頃から流れ始めた曲、ずっと探してたサントラに入ってない曲が見つかりました。解散という曲なんですね。なんとか音源を手に入れたいです!サントラ第二弾でないですかね?第一弾は、発売日に買いまして、通勤、風呂の中でもほぼ毎日聞いとります。そろそろ第二弾を~!

> ゆんたさん
 「解散」はなかなかの反響ですね。NHKにも結構問い合わせがあった曲の1つだそうです。サントラ第二弾、是非だしたいものですが、残念ながら私に決定権が無いので(涙)。
 しかしこのまま埋もれさせるのは、作曲者としても悲しいので、何かの機会に再演していきたいと思います。

こんにちは。はじめてブログにコメントを書きます。今更ながら・・・と思われるでしょうが、実は「てっぱん」に嵌っています。今・・・というよりこの2年間ずっと。そもそも朝ドラはほとんど見ていなかった僕がこのドラマに出会ったのは、たまたま見始めた「あまちゃん」に嵌りに嵌り、本放送、DVDで4~5回見て、そろそろ他の「朝ドラ」も見てみようかな、と思ってネットレンタルしたのがきっかけでした。「総集編」でしたが、前編を見ただけで途中から涙も鼻水も垂れ流し状態になり、気が付いたら夜が明け、ティッシュが一箱カラっぽになっていましたね。
それからDVDを全巻購入して、毎朝早起きして2~3話ずつ見るのが日課になってしまいました。2年間で5回は見倒しましたかね。今でも続いていますが毎日泣けてしまいますよ。名作と評判で有名でもある「ゲゲゲの女房」や「あまちゃん」より面白くて泣ける、そして飽きない。
特に音楽(劇伴)が素晴らしいです。「ひまわり」「あかりのテーマ」「ハバネラ」「海のテーマ」は毎日のように聴いています。深夜までの残業が続いて脳味噌が沸騰しそうになったとき、このサントラでどれだけ救われたか!僕の中では歴代の朝ドラ音楽でベストだと思っています。

前置きが長くなってしまいましたが、実は、どうしても知りたいことがありまして・・・。劇伴の中で、あかりが実の父親のトランペットの演奏の録音を聴くシーンがありますよね。ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」 でしたか、あの演奏が耳から離れなくて、ネットや図書館で音源を探したりしましたが、どうしても見つからないのでお尋ねしたいのですが、あれはドラマオリジナルの音源なのでしょうか?それとも発表されている誰かの演奏曲なのでしょうか?何とも不躾なお願いですが、ご存知でしたらお教えいただけないでしょうか?

大変長くなってしまってすみません。これからのご活躍をお祈りしております。

> のじのじさん
 いやはや、感激致しました。もう何年も前のドラマにも関わらず、こうして熱心に観て下さる方がいる。更に音楽をそこまで評価して下さり、この嬉しさは言葉に表せないくらいです。
 音楽に関しては葉加瀬さんと、「単なる劇伴ではなく、曲として成立するものを作ろう」というコンセプトでした。ですので、未だに私も自身のコンサートでは、そのまま演奏している曲も多々あります。
 ご質問の件ですが、実は私はタッチしていなくて、恐らくNHKのスタッフ側で用意したものと思われます。私もチェックしてみますね。
 思いの込められた熱いコメント、有り難うございました。

ていほうさん、ありがとうございました。まさかご返答いただけるとは・・・。蛇足ですが、「てっぱん」は僕の生活を大きく変えてしまいました。毎朝4時半に起きて「てっぱん」DVDを見る、その後おもむろにお弁当と家族の朝食を作る、時々初音さんが作っていた玉子丼やきつねうどんを作ってみる。尾道のロケ地巡りに行ったのは昨年秋・・・そして一番の変化は、何とトランペットを習い始めてしまったこと。どうしても、劇中のあかりのように「ひまわり」と「また逢う日まで」を吹いてみたくて・・・。実は全くの初心者ではなくて、昭和50年代後半の一時期、ヤクルトの応援団に所属し吹いていたことがあって、それ以来30数年ぶりなのですが・・・。

それにしても、作品自体何度見ても素晴らしいと思いますが、見るたびに劇伴に新しい発見があることに驚いています。あかりが小早川のぞみさんの妊娠を知る場面で流れる英語の女性ボーカル曲、オリジナルだとずっと思っていたのが、実はビートルズの「GOOD NIGHT」という曲だったり、「HABANERA」に付いていた女性ボーカルの主が川中御幸さんだったり・・・。そういえば、連絡船にのった初音さんをあかりが自転車で追いかける場面で流れていた曲、とても良い曲だと思ってましたが、あれ、「たそがれ」の別バージョンだったんですね。他にも耳に残っている曲が沢山あります。是非サントラで聴きたかった。未収録なのが残念です。

今は一人でも多くの人にドラマと音楽の素晴らしさを知ってもらいたくて、友人や同僚にDVDやサントラを貸しまくりです。

これからも、てっぱん同様の素晴らしい楽曲を期待しています。

> のじのじさん
 おぉ、生活スタイルまで変わってしまったとは。そういうアタシもとある仕事以降、朝型人間になりました。今は作業の大半は朝食前にやっております。
 川中美幸さんとの録音は楽しかったです。彼女は「普段、歌詞にはカタカナすら出てこないんですよ」と、イタリア語に苦労されていました。
 お気付きかと思いますが、実はサントラに収録された曲は、バラエティー番組等でよく使われています。孝行息子達ですねぇ。

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