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2012年3月23日 (金)

Le Grand Tangoの謎

 フツーにTangoを演奏している分には、全く縁が無い曲なんですが、Astor PiazzollaがVioloncelloとPianoのために書いた「Le Grand Tango」という曲があります。直訳すると「大タンゴ」とでも言いましょうか。アルゼンチン・タンゴは通常1曲3分くらいで、4分もあれば結構「長い」と感じるジャンル。それからするとこの「大タンゴ」、演奏時間は10分を超える曲なので、十分に「大」どころか、「特大」と付けても良いくらい。

 Piazzollaが一応Classic音楽の分野で残した曲、という位置づけですが、同じコンセプトのFluteとGuitarのために書かれた「タンゴの歴史」を聞いても、あまりクラシックには聞こえませんわね。

 Piazzollaの音楽を聴いていたのは、元々Tangoを聞く人達。それが彼の没後から、Classicの著名な演奏家が取り上げるようになって広まり、今ではジャンルを越えて演奏されるようになりましたが、今回取り上げている「Le Grand Tango」は何と、かの大チェリストMstislav Rostropovichに捧げられたもの。どういうつながりがあったかは知りませんが、さすがはTangoの枠を越えたアーティスト、という感じです。まさか、一方的に贈ったわけじゃないでしょうから。

 ところでタイトルの「謎」です。今ではたくさんの演奏家が録音し、かなりの数の盤が存在すると思いますが、書かれた直後は存在も知られていないせいか、録音は少なかったです。そして謎が発生...。

 今回問題にするのは出版された楽譜と、献呈された本人ロストロ翁の録音と、其れより先に録音されたGidon Kremerのもの。

 作品が出来上がったのは1982年。どうやらすぐ出版されたようで、BERBENという版が現在でも入手可能。故石川浩司先生著の「タンゴ名曲事典」によれば、初演されたのは1990年ニューオリンズで。勿論ロストロ翁の演奏。しかし最初に録音したのが1995年オリビエル・マノウリイというBandoneon奏者で、当然楽器が違うので、オリジナル通りでは無いと思われます。聞いていないので分かりませんが。

 更に1996年には前述のクレーメルが録音。当然彼はViolin奏者なので編曲をしています。この編曲をしたのがSofia Gubaidulina女史で、てっきりViolin用に旋律のオクターブ関係を変えただけかと思いきや、結構改変をしていて、楽器の都合でなく音楽的な移調(途中の転調のため)、小節のカットや拡大等、もちろん原曲の良さは損ねていませんが、同業者から見ると「ほぅ、そこまでしますか」って感じです。

 そしてようやく献呈されたロストロ翁が録音。しかしこれが今回の議題。何とその録音、出版された譜面と違う箇所が。旋律を変えたりしていますが、一番驚いたのがカット。そのカットもかなり「うぉっ!やるな」って感じに飛んだ先が転調し、はっきり言ってこの曲に新たな息吹を芽生えさせた、と言っても過言でないくらい。私見ですがね。ま、一応作曲家の専門的な立場での発言と思って下さいな。

 そうなると、問題は「いつ、誰が」改変したかです。Piazzollaの亡くなったのは1992年。ロストロ翁の初演に立ち会ったとは思えませんが、その時点では存命中。初演はオリジナル通りにやって、その後改変もあり得ます。

 まぁ、タテマエとしては作曲家に無断で、演奏家が改変をするというのはあり得ない事なので、ロストロ翁も連絡はしたかと思いますがね。しかもそのロストロ翁エディション(!?)は、明らかに出版されているバージョンよりイイ。じゃぁ、Piazzolla本人による改訂か...。ならばそちらの楽譜は?

Legrandtango 今となっては、

ロストロ翁もあの世にいってしまっているので、

天国でPiazzollaに会って、

「やっぱオレが録音したヤツの方がイイだろ」

と言っている、

かどうかは分かりませんが、いつか「ロストロポーヴィチの証言」とかいう本が、お弟子さんや親しい人達の手によって出版されたら、大タンゴに関しての記述もあるのかも知れませぬ。と言いつつ、先人の「ショスタコーヴィチの証言」は半分以上ウソだというハナシ...。

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コメント

ピアソラのピアノ2台で弾く曲を大学で練習していると、長女が言っていました♪

> よっかさん
 !? 其れって私が編曲した全音からでているものですか?それだったら謎はありませぬ。

長女に聞いておきます~

> よっかさん
 2台Pianoの市販譜はそんなに多くはないですから。

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