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2012年4月 5日 (木)

隠れた名曲「カリ1」

 これまたタイトルだけだと、なんのこっちゃ?という方も多いかと。クラシック音楽に限らないと思いますが、親しまれている曲は、その題名が長い場合によく略して言われます。「カリ1」を敢えて略さずに言うなれば「カリンニコフ作曲/交響曲第1番」とでも言いましょうか。普段クラシック音楽に接していない方だと「ふ~ん」という感じでしょう。のだめカンタービレで爆発的に有名になったのは「ベト7」。略し方もいろいろですが、「第九」と言えばブルックナーの交響曲でも、ショスタコーヴィチのでも、モーツァルトでもハイドンでもありませぬ。これらの作曲家は皆、交響曲第9番を書いていますが、言わずもがな「第九」はベートーヴェンの曲を指しますな。

 ところでこの「カリ1」。ワタシの好きな交響曲の3本指に入る、と以前Blogに書きました。その他は「シベ7」と「ブラ2」なのですが、実のところどれもチョー有名というワケではありませぬ。Brahmsの4つの交響曲の中では、部分的に言えば1番冒頭、同じく4楽章、3番3楽章、4番冒頭辺りがキャッチーで有名かしらね。Sibeliusに至ってはやはり2番でしょう。

Kari1cd そして「カリ1」。

作曲したVasily Kalinnikovは、

残念ながら全く無名と言っても仕方ないでしょう。

34歳という短い生涯で、Schubertのように何百と曲を残したわけでもなく、まぁこの交響曲第1番のみがかろうじて...と言う感じで、第2番もあるのですが、録音は1番とカップリングされるのでそこそこありますが、演奏会で単独で取り上げられる事は、殆どありませぬ。少し前に山形交響楽団でやっていました...。

 テーホーが「カリ1」にハマったのはラジオで部分的に聞いたのがきっかけ。曲名を聞き逃すまいと、カーラジオだったのですが、演奏が終わるまでエンジンを止めず、ちゃんと作曲者と曲名を聞き取り、あとでCDを探しました。そのときの途中から聞いた演奏だけで、ワタシを虜にするには十分だったってワケ。それから買ったCDは8枚。やはりロシアの指揮者、オケの割合が多いかしら。

 近年かなり取り上げられるようになり、どうやら其れは、作曲者の没後100年をきっかけにしているらしく、2001年前後から急激に演奏回数が増えたようです。

 まぁ、「隠れた~」と付けなくてはならいのは、やはり知名度のせいで、こういうものは何かのきっかけで隠さなくても名曲になったりもします。前述の「ベト7」。それまでベートーヴェンと言えば「運命」「田園」「第九」「英雄」と、副題の付いたものが圧倒的に有名で、世間では「名曲」という事になっております。もちろん名曲なんですが。ちなみにこれらの副題。「第九」は副題ではありませんが、作曲者本人が付けていない場合も多い、という事を付け加えておきましょう。ワタシもあったな、そういう事が...。

 そんな副題の無い「ベト7」。もちろんクラシック愛好家の間では名曲の誉れ高く、下手すればベートーヴェンの交響曲では1番好き、という方もいたかも知れませぬ。しかし一般的には「運命」ほどではないので、言わば隠れた名曲。それがのだめカンタービレのおかげで、一気に隠れなくなった名曲に!? 今やオーケストラの音楽鑑賞教室の仕事では、「運命」よりも「ベト7」の方が演奏回数が多いそうな。

 んなもんで「カリ1」も映画やドラマ、勿論それ自体がヒットしないとダメですが、そういったもので取り上げられると、一気に有名になる可能性があります。と言うのもこの曲、とてもキャッチーで、アカデミックな教育を受けたテーホーが聞いたところでも「ポップなシンフォニー」という印象。主題が親しみやすく、取り分け2楽章などは日本人好みの叙情的な感じ。

 とは言え、誤解を恐れずに言えば、ポップなものは「飽き」と背中合わせ。聞き過ぎると印象もだんだん...。隠れているうちが良いのかも知れませぬ。またいつか時間のあるときに、この「カリ1」談義を。そして興味のある方は、テーホーがそこまで熱く語るなら...と、聞いてみて下され。今は便利な時代。Youtube等で手軽に聞けまする。

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コメント

カリ1ね(笑)。ワタクシ的には第一楽章第二主題のためにあるような交響曲という印象ですが、実に愛すべき曲で、もうやることなすこと全て「よしよし」と愛でずにはいられません(フェチか?)。こういう曲で飽きるか飽きないかは、演奏する側の思い入れというか共感というか萌えというか、の強さから来る迫力によるでしょう(その点ではわりと自信あり)。ちょっと前にスコアも出たことだし、茨響か都市オケか、どこかご近所さんで取り上げたと思います、残念ながら聞いてませんが。
ちなみにワタシ的には「ベト7」はベートーヴェンの交響曲の中で最も苦手(特に終楽章が)です。8番の方が全然よく書けてるし面白いと思います。なのに今年の春夏シーズンに2回(東京サロンオケと茨大オケ)やることになりました。どひゃあ・・・

> ほーほさん
 その1楽章第2主題こそ、ポップの象徴。そして取り上げたご近所さんは茨響です。写真のジャケットに写っている指揮者で。チョー羨ましかったですヨ。

土浦でも以前、選曲にあがっていたような記憶があります。聴いたことがないので、ともかくきいてみます、カリいち!

カリ1~!!!!

あんまし詳しい事とか細かい事とかよぉわからんですが、とにかく大好きな曲です!!
そしていつかやってみたい曲デス。
このシンフォニーで面白いと思ったのが第4楽章でした。
それまでの1~3楽章のテーマが手を変え品を変え随所に登場して
なんかダイジェスト版、総集編みたいに感じて、ですね。
こういうまとめ方もアリなんだなぁって。

とりあえずYouTube観にいってきま~す

> tso@おきじゅくさん
 私にとっては、数少ない「聞いただけで」好きになった曲です。3本指に入る他の2曲は、やはり弾かないと良さが分かりませんでしたが。

> 響酒@よぱらいさん
 これはもっと有名になっても良い曲だと思います。テーマや構造はFrankなんぞよりも、よほどキャッチーだし。そう、特に4楽章の盛り上げ方などは、「きたぁ!」って感じで大好きですよ。

オケの経験が短いのですが、もう一度弾きたい曲はNo.1はブラ2です。
Brahmus贔屓でなく、他3曲は普通ですが、2番はハマりました。

> SSさん
 おぉ!ここにもいらっしゃいましたか。ブラ2は今までViolaとContrabassで演奏した事がありますが、何度演奏しても良い曲です。ちなみにこのBlogによく書き込みをされるほーほさんも好きですよ、ブラ2。

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