橋本杏奈クラリネットリサイタル
前から聞きたいと思っていたプレイヤーです。音楽家仲間のお嬢さん、というものあるのですが、やはりClarinet吹きの端くれとして。って言ったって、アタシなんぞは亜流中の亜流ですがね。
日本ではとても珍しいものです。
日本のプレイヤーは、
大別すると3社に別れます。Buffet Crampon、Selmer、そしてYAMAHA。彼女の使うのは、英国生まれのPeter Eatonというもので、1本1本ピーター・イートンさんが手作りしているんだそうな。この音色を聞くのも、とても楽しみでした。
当日のプログラムは、Schubertの「アルペッジョーネ・ソナタ」以外は、知らない曲ばかり。作曲家もM.Arnoldは知っていましたが、G.Finzi,B.Kovacs,N.Menendez,M.Yusteと、どこの国さえも分かりませなんだ。
というも、実はプログラムには曲の解説がなく、曲目と奏者のプロフィール、ピーターさんの楽器広告。個人的には大事だと思うんですよ、プログラム・ノート。演奏者ご本人が書くならば、何となく人柄も出たり。他の人が書くならば、それはそれで良いし。アタシもNAOTO君の演奏会のプログラム・ノートを書かせて頂きました。
そして演奏の方。いやはや、凄いのなんのって。楽器演奏ではどうしても目立ってしまうテクニックの面は、もう超越している感じ。そしてもっと大事な音楽面。これがまたスバラシイ。息づかいがフレーズの終わりまで稀薄にならず、それはさながら、朗読や演説のようで、とても説得力のあるものでした。
そして楽器。音色は芯のつまった感じで、パワフルな印象を受けました。まぁ、メジャー3社でもそのような音色を出すプレイヤーはいるかと。そうなると、問題はプレイヤー本人。自分の出したい音が、その楽器で容易に出せるか。
彼女はピーターさんの楽器を「飼い慣らされた仔猫ではなく、野生の虎」と。なるほど、楽器に未知の可能性を見出しているのは良い事。また彼女のプレイからは、まるで自分の手足のように操っている、ナチュラルさを感じました。
ちなみにマウスピースはVandoren B40、リガチャーも同M|Oだそうな。アタシもいつか試奏してみたいなぁ。とは言え、もし気に入ったとして70万かぁ...。
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NHKのクラシック倶楽部で橋本杏奈さんの演奏を聴いた時には衝撃的でした。すばらし過ぎました。
なんでもクラリネットに興味を持ったきっかけとなったのは、演奏会で聴いたクラリネットのリードミスだったそうな。キーキーという音が面白いと子供心に思ったとのこと。
なにがきっかけで世界的な人物になるのか、本当にわからないものですね。
投稿: かんお | 2013年4月25日 (木) 11時22分
> かんおさん
そうだったんですか! すごいきっかけです。
この日の彼女も演奏も、魅力が100%伝わる素晴らしいものでした。まだお若いですし、これからが楽しみですね。
投稿: ていほう | 2013年4月25日 (木) 20時16分