我が土浦交響楽団は、ある時期から固定された常任指揮者をおかず、1年契約(最長2年)で様々なマエストロが来ます。巷では「土響を振ると出世する」などと言ったもので、その代表格が栗田博文さん。彼が第23回東京国際音楽コンクール指揮部門で優勝したのは、土響を振った後の話。更にその後ペドロッティ、シベリウス等、海外の指揮者コンクールでも入賞を。
まぁ、昔は来る指揮者も若かったので、その後仕事を堅実にこなし、地盤を固めていったと言えばそうなのですが。新通英洋さんや安部克彦さん、桜井優徳さんや佐藤寿一さんもいらっしゃいました。彼らも今やベテランの域に。
また当時はまだ学生だった齋藤一郎君。NHK交響楽団のアシスト・コンダクターを経て、いまやセントラル愛知交響楽団の音楽監督。
そして忘れてはならないのが鈴木織衛さん。現在プロ・オケで最も引っ張りだこの人でしょう。アタシも彼が専任指揮者を務めているオーケストラ・アンサンブル金沢でご一緒しました(2010年7月20日参照)。
その後も少し上の先輩、森口真司さんは大分県立芸術短期大学で教鞭をとる、言ってみれば大分芸術界のドン!? 京都大学~東京芸大という彼の勉学の道の集大成として、その博識を遺憾なく発揮出来る職場かと。
そして最近、
久しぶりに若い指導者が来ました。
恐らく三十路を突入したあたりかしら。
バトン・テクニックもあり、何よりもそのスムーズな練習の進め方は、単に音楽的才能があるだけでは出来ませぬ。尤も今回の彼のポジションはアシスタントなので、彼自身の個性を我々に繰り広げる事はありませんでしたが。主体はあくまで正指揮者の方なので。
「指揮者」という職業は、若くして最も成功しにくい職業の1つで、いくら耳が良く、音楽的才能に恵まれても、いわゆるリーダー・シップに欠ける部分があると、オーケストラの団員は誰もついてきませぬ。それでもまだアマチュア・オーケストラは指揮者を「先生、先生」と崇めますが、プロの現場だったらまず無理。
そして現場(オーケストラ団員)と、聴衆の評価が真っ二つに別れるのもこの職業の特徴。客からブラボー!の嵐でも、団員からは総スカン、なんて話もフツーに聞きます。
んなムズカシイ職業にあって、「まだお若いのに...」と、ちょっとばかし年をくってるもんだから、感心の目でみていました。更に彼のプロフィールを眺めていると、「ヤッパシ東京音大かぁ」。
近年東京音大で学んだ学生の躍進には目を見張るものがあり、それはClassic、Pops問わず、業界を席巻しています。「取り敢えず芸大さえ出ていれば...」なんて芸大神話も、20年以上前にとっくに崩壊していますし、今はきちんと実践で使える知識、テクニックを身につけたプレイヤー、書き手でないとやっていけませぬ。
本日41歳になったNAOTO君なんかスゴイわ。崩壊した神話の中にあって、学生時代からバリバリ仕事をこなし、恵まれた淡麗な容姿と音楽的才能で以て第一線で活躍。
アタシも頑張らねば。容姿はムリだけど。
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