今回、植木昭雄先生のリサイタルに於いて、Haydnの2つの協奏曲を編曲させて頂いたのですが(2021年10月20日参照)、曲を知るにつけ、一筋縄ではいかない曲だったと知りました。
ツッコミどころ満載で、どこから触れて良いやら、という感じですが、まずご覧の通り2曲、同じ出版社からは出ていません。2番ニ長調の方は日本語版もありますが、こちらが先に発見されていて、しばらくはこちらだけが存在。ちなみにHaydnは、チェロ協奏曲を6曲書いていて、そのうち2曲は他人の作。んで、楽譜が見つかったのがこれら2曲。
その2番というのも、ホントにHaydn自身の作かという疑念があって、自筆譜が見つかって(それまでは写譜)、ようやく本人の作と認められたそうな。
そして1番ハ長調の方。20世紀も後半になってから発見されたって! なので現時点では外国版しか出ていません。つまりこれらの事から考えれば、今後も見つかれば増えていくという事か。ま、Schubertの交響曲の番号が変わった事を考えれば、驚く事ではないのかネ。
で、ハナシはここから。問題は2番ニ長調の方。前述の通り、ホントにHaydnが書いたのか、という疑念があったのは、この曲を書いてあげたチェリスト、アントン・クラフトの息子が「ホントはオレの父ちゃんが作ったんだ」と言っていたから。その証言の真偽はともかく、これら2つの協奏曲、技術的には相当な開きがあって、もっと言えば音楽的にも同じ人が作ったとは思えないほど違う。1番はいかにもHaydnという感じですが、2番はかなりロマンチックで、柏木広樹さんに至っては「ハイドンにしては良すぎる」とまで!? んなもんで、自筆譜が見つかるまでは本人作が疑われていたワケ。
そして作曲家テーホーの見解。自筆譜が仮にHaydn本人の筆跡と鑑定されたとて、必ずしも彼のオリジナル作品とは限らぬ! 確かに紙に楽譜を書いたのはHaydnだったとしても、ホントに彼自身の発想によるものなのか?
「元ネタ有り説」です。例えばJ.S.Bachだって、Vivaldiの作品を編曲して自分の作品としている。楽器や編成を変えて。そっくり編曲、もしくは部分的に編曲、またはモティーフを引用等、手口は様々。残念ながらその元ネタがコレ!と提示出来ないので説得力に欠けますが、この2つの協奏曲を知っている、もしくは弾いた事のあるチェリスト100人に聞けば、少なくとも過半数の賛同は得られるかと。
同時代のチェロ作品をもっとたくさん研究してサンプルも揃えれば、論文レベルになるかネ。ちゃんと元ネタも発見出来たり。尤も元ネタはチェロ以外の楽器の可能性もあるので、膨大な作品の中から探し出さなくてはなりませんが...。
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