ふとしたきっかけで知り合ったトランペット奏者、田尻大喜さん。現在ツアー中で、茨城県はつくば市にいらっしゃるではないですか。せっかくなので聴きに行きました。
プログラムは多彩。Tangoが入っていたのには驚きましたが、「桃尻大喜」の名で作曲もされる彼は、「人を笑顔にするトランペッター」というキャッチフレーズ。これがもぅ、笑顔どころか、とても元気にしてくれるミュージシャンでした。
奇しくも今日は、彼の生まれ故郷である熊本県が大地震に見舞われてちょうど9年。被災地に寄せて書かれたオリジナル曲も素晴らしかったですが、ここは敢えて特記事項として「Libertango」を挙げましょう。
この曲を我々Tango屋という立場から正直言わせてもらうと、表面の格好良さに釣られて演奏している残念なものを、どれだけ多く聴いてきたことでしょう。しかし田尻さんは全く違いました。
当然Trumpetは本来Tangoの楽器ではありませんので、Tangoに近づけるのか、別のものを作り上げるのか。まず伴奏のPianoが素晴らしい。本来この曲の特徴である3-3-2のリズムを少々感じさせながら、Milongaのスタイルも思わせるバッキング。相当なセンスの持ち主が編曲したものと思われます。そこに田尻さんのソフトでありながら、芯の通った音色で歌う。更にアグレッシブな部分もキメる。啼鵬が聴いた本職以外の演奏で、ここまで完成度の高い「Libertango」は記憶にありませぬ。Tangoを離れグローバルなポップスとして成立した成功例として挙げられましょう。
そう、少し触れましたが、音色。楽器の命とも言える部分ですが、彼のTrumpetの最初の一音を聴いたときに、Flugelhornでもないのに、何故ここまで柔らかな音色が出せるのか!と驚愕。更にそのFlugelを吹いたときには、もはや金管楽器の領域を離れた、究極の管楽器といった印象でした。もちろんテクニックも申し分ないのですが、音色というのは「練習」して出来上がるものではなく、「追求」してたどり着くものです。
こんなに素晴らしい演奏が地元で聴けるとはね。久しぶりに出会いました。ずっと聴いていたい音色。おっと、加えておくと、MCもチョー面白い。こりゃ清塚の信サマクラスだわね。
あぁ、音色も良くて、演奏も素晴らしくて、ハナシも面白くて、彼に悩みはあるのでしょうか? 素晴らしい時間を有り難うございました。
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