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2025年5月22日 (木)

村田淳一 & 由井平太 Saxophone Duo Recital

 実のところお二方とも存じ上げず、Pianoの深沢雅美さんがご出演、という事でチケットを購入。皆さん長野県出身や在住で縁のある方達。チラシには出演者のオリジナル作品が掲載されていたので、其れは楽しみでした。

Muratayui2025

 果たしてこのリサイタル、前半から度肝を抜かれました。取り分け啼鵬の心を奪ったのは、村田さんSoloのVincent David作曲「Pulse」。多用されている特殊奏法をものともせず、まるでご自身の言葉を話すかのような語り口。モンゴルのホーミーのような効果を狙った奏法があったり、最も盛り上がる部分では、通常の音域の音に加え、フラジオレットと呼ばれる音域外の高い音、更に低音のスラップ・タンギングでもって、まるで3人の奏者が同居しているような世界。初めて聴いた曲ですが、Saxophoneの無伴奏Soloでここまで感動したのは、亡くなった原博巳君が演奏したLuciano Berioの「Sequenza VIIb」以来かな。もう30年近く前の演奏ですが。

 前半でかなりコンテンポラリーな音楽を聴いたので、後半、長生淳先生の作品がかえって古典的に聞こえた程でしたが、相変わらず色彩感豊かな長生作品。マーブリングやグラディエーション、はたまたスパッと切り替わるこの色の流れとでも言いましょうか。3人の奏者が隅々まで表現されていて、長生作品を演奏した事のある啼鵬としては、参りました!という感じ。

 そしてメイン・プロの村田さんの作品。このロマンチックでドラマチックな作品を、言葉で伝えるには啼鵬、語彙が少なすぎて恥ずかしい限り。曲が進むにつれて、どのような展開になっていくのかワクワクさせるだけでなく、聞き手がどことなく求めている音にもありつける。雄弁な作品でした。

 深沢さんのPianoは、傳田高廣さんのところで体感していますが、今回もSchumann「Adagio und Allegro」など、啼鵬も弾いた事がある曲を聴くと、「あぁ、正解はこうだよな」とため息が出るような演奏。更にアンコール曲では「あのPiano、あんな音色出せるのか」と、深沢さんの音色にうっとり。恐らくアタシも何度か弾いている楽器(2023年2月6日参照)。やっぱ本職が弾くと違うなぁ。

 今回は深沢さんとのご縁で聴きに行きましたが、其れが無かったら逃していた演奏会。あぁ、1997年に長野市でBandoneon教室を開講して以来、北信から南信まで、何人もの凄い長野県人に出会ってきましたが、また出会いました。こういう逸材が地元で活動、地域文化を支え、育んでいる事を考えると、何と素晴らしいことでしょう。

 素敵な時間を有り難うございました。

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