つくばサロンコンサート Vol.9(6/20 夜の部)
そう言えば山田圭子さんのViolinを聴くのは初めて。いつもViolaでしたので。啼鵬のスコアを弾いて下さったときも、大昔Brahmsのソナタを聴いたときも。
そのBrahmsで言えばClarinetもViolaもたしなむ啼鵬。Clarinet SonataをViolaで弾く事には否定的で、根本的に違う結果を生むんだから、音域が同じとかいう理由で弾くなど、けしからん!と思っていたのが、山田さんの演奏を聴いて「そうだよ、こうやって弾けばイイんじゃん」などと、上から目線で、勝手な物言い。
そして今回。ある意味、前述の事を何故納得したのかが分かった演奏会でした。もう最初の曲から心が溶けました。自分でも何度も伴奏し、耳タコどころのハナシじゃない曲でしたが、何だろ、つまるところ音色ですか。
最近はチョー上手い若者の演奏を聴く機会が多く、彼らには決して出すことの出来ない、其の人ならではの音色、とでも言いましょうか。もしそのような音色で弦楽器を奏でる若者がいたら「キミ、人生ナニがあったんだネ?」なんて聞きたくなるような...。
う〜む、其れが何なのか。今回はウィーンに関わる作曲家が多かったので、ウィーン風ってことですか。かつてアルゲリッチがグルダの門を叩いたときに教わりたかったこと。いや、山田さんはドイツ、フランクフルトだしなぁ。
音色って、人に習って出せるようになるものではなく、其の人の持っているイメージ。追求した結果。つまりは山田さんのキャラクターがにじみ出た音色なのか。兎に角今回、ポピュラーな曲から玄人好みの曲まで、彼女の紡ぎ出す音色でもって、1つ1つのフレーズが心にしみてきやした。アタシも年をとった証拠ですかネ。
またPianoの加藤真矢子さん。初めて聴かせて頂きましたが、Soloも伴奏も素晴らしい。経歴を拝見すれば明記はされていませんが、当然Piano専攻なのでしょう。作曲科出身ピアニストでない伴奏者で、ここまでバランスの良い演奏を聴かせて下さったのは、稀有なことです。パワーで押さない山田さんの演奏に、絶妙なバランスで寄り添えるのは、相当研ぎ澄まされた感覚をお持ちかと。
素晴らしい演奏、有り難うございました。
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私もそんな経験があります。
ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」をパリ管金管五重奏団で聴いた時に感じました。
元はピアノ曲なのに、彼らのために作った曲なのではないかと実感できる演奏でした。全員がフランス出身かは判りませんが、さすが管楽器王国と言われるだけのことはあると納得しながら聴いたものです。
ところで、伴奏者の方はソリストでありながら、室内楽・伴奏でも幅広くご活躍をされているようですね。さらには、コンサートプランナーとして、企画運営もされているとか!?
啼鵬さんとは違った意味での、マルチプレイヤーですね。恐れ入ります。
投稿: 語る会 | 2025年6月21日 (土) 09時17分
> 語る会さん
あまり認識されていないかも知れませんが、Piano奏者でソロで活動されている方、伴奏をメインされている方、根本的に違います。更に伴奏でも器楽と歌曲では、これまた全く異なるものです。なのでソロ、伴奏、両方されている方は「二刀流」を名乗って良いかと。
投稿: ていほう | 2025年6月21日 (土) 22時36分
そうですよね。
だから、伴奏が上手だからと言って、独奏も上手かというと、「あれ?」って思うことがあったり、その逆なんか特によくありがちなパターンです。
知らないと、ピアノ弾けれるんだから、何でも出来るでしょ?的な無茶ぶりをされる方も多いですが、本当はそうじゃないんだよなあと、以前取り組んでいた演奏会のプランナーをやっている時に気付くことができました。
そういう意味で、今回の伴奏者の方のピアノは、どんな感じなんだろ?と、とても興味をもった次第です。
ただ、伴奏者の方が上手すぎて、独奏者が上手くないときは何ともいえないものがあります。「そこは、そう吹くんじゃなくて…」みたいに、まるでお母さんが息子を諭すような組み合わせだと、見ているほうも痛々しく感じるものです。(実際、そういった組み合わせも、先の演奏会で見てきました。)
投稿: 語る会 | 2025年6月23日 (月) 08時48分
> 語る会さん
正に!伴奏者の方が上手くて...というケースはありますね。取り分けコンクールでは、上位を狙うには著名な伴奏者にお願いして...とか。そうなると辛辣な審査員に「伴奏者の方が上手でした」と講評に書かれた、という例も聞いた事があります。
投稿: ていほう | 2025年6月23日 (月) 13時10分